伊坂幸太郎 『モダンタイムス』



システムエンジニアの渡辺が勤めている会社が請け負った、ある出会い系サイトの変更。でも、仕様は分からないことだらけ、質問しようにも発注元にさえ連絡が取れない有り様。
しかたなく解析を試みるうち、メンバーや上司は次々と奇妙なトラブルに巻き込まれる。巻き込まれる前、彼らが一様にある検索ワードを入力していたことに気づいた渡辺は……
というお話。

伊坂幸太郎の話は、散りばめた伏線を綺麗に回収しながら終わらせるところが魅力の一つですが、本作では拾い損ねた伏線も多々あるような。そういう意味ではちょっと消化不良かも。

2007年から8年にかけてコミック雑誌モーニングに連載された本作ですが、
主人公渡辺をはじめとして多くの人を絡めとった仕掛けについて、「そんなことあるもんか」と思った人が大多数だったでしょうが、
2013年にエドワード・スノーデンが登場して、全くシャレでないことがわかりました。

もっとも、スノーデン登場のずっと前から、こんなことはIT業界ではよく言われていたことで、
2000年頃、陰で米国政府が糸を引いていた?裁判で、危なく米国の法廷に証人で立ちそうになった時、太平洋を挟んだ打ち合わせの国際電話で、

「どうせあいつらこの電話聞いてるんだろうから、これから10分は大統領の悪口でも言おうか」

なんて冗談は、普通でした。

文庫版の上巻の帯には「検索から監視が始まる」とありました。そんなバカなと思う方は、以前書いたエントリィ、「Don't be Evil」をどうぞ。自分のスマートフォンの無料アプリから、どれだけ謎のパケットが世界中に出て行っているか、一度調べた方がいいと思いますよ。たかが(失礼)時計アプリが、なぜ一日一回ブルガリアのサーバにアクセスする必要があるのか、理由が知りたいところです。
世界は便利になったけど、もう少し中身を知って使わないと、私もナニモノかに絡め取られてしまうなと思うところ。
下巻の帯には「仕組みを知る勇気はあるか?」とありましたが。

伊坂作品の恒例?で、本作も『魔王』や『ゴールデンスランバー』などとリンクしていますが、それらを読んでいなくても問題ありません。
私は楽しく読めました。

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