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村上龍『イン ザ・ミソスープ』


イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)
(1998/08)
村上 龍

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新宿歌舞伎町界隈で、外国人観光客を相手に性風俗ガイドをしているケンジ。年末に三日間のアテンドを依頼してきた米国人観光客フランクの表情や言動や不安定さが、最近猟奇的に殺された売春していた女子高生の事件を思い起こさせる。内心の不安を抱えながらフランクを案内するケンジ。はたしてフランクは何者なのか?
というお話。
読売文学賞受賞。

話題になったので読んだ方も多いはず。1997年に読売新聞に連載された新聞小説です。ちょうどこの時期私は公私共に激変期で、気にはなっていたのですが今頃手に取りました。
97年は、渋谷では売春していた東電のOLが殺され、神戸では酒鬼薔薇の事件が起きたわけで、小説が現実の先を行ったのか、現実が小説を模倣したのか、意見はいろいろあるでしょうが、連載中から話題になった理由のある程度の部分は事件のことがあるわけで、読売新聞的にはガッツポーズですが、作者的には勘弁してくれだったでしょう(あとがきにもそのようなことが書かれています)。
文学賞の方は、自社の新聞に連載された話題作ということで、まぁ、多少ナニがナニしたところはあるでしょうね、ということで。

文庫版の解説では、「日本の社会」の「非日本的なもの」との関わり、のようなことが書かれていたり、タイトルをみると作者も意識していたのかもしれませんが、
「意思の疎通も大変でなかなか理解できないもの」を端的に表すための記号としての「フランク」とは思いましたが、
日本人だから、日本の社会だから、ストーリーがこのように展開した、とは、どうも感じられませんでした。
少々意思の疎通が難しい相手、例えば重い精神障害を持っている人を想定しても(つまりフランクという外国人でなくても)、ストーリーは同じく展開できたように思えます。そこには「日本の社会」というキーワードは入り込めないような。

全体の半分くらい進んだところでストーリー上の謎は概ね無くなってしまい、あとはどう落とすのかな、というところなのですが、飽きることなく読みましたが、正直、後半はちょっと緊張感には欠ける感じはしました。
でも「新聞小説でホラー」なんて文字通りホラーな展開にならず(話をホラーにせずに)終わらせたところは、村上龍の上手さでしょうか。

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