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伊岡瞬『教室に雨は降らない』


教室に雨は降らない (角川文庫)教室に雨は降らない (角川文庫)
(2012/09/25)
伊岡 瞬

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森島巧は、音大を出たものの思うような就職先が決まらず、学生時代のアルバイトでも続けようかと思っていた矢先、遠縁が校長をしている小学校の音楽の臨時講師の話が舞い込み、受けることに。
そんな森島の一年にみたない臨時講師生活の連作短編集。

読み始めた時には、ちょっとこれはマズイものを選んだかも、と思いました。
そもそも教師は嫌いなもので、教師の話は四割引きくらいしてしまうところに、最初の話がモンスタペアレンツ vs. 教師ですから、教師に勝ち目はありません。教師は嫌いですが、理不尽なものにただただ蹂躙されて負ける話も好きではありません。
ところが後半で大逆転。単なる臨時講師物語かと思ったら、実はこの話、日常の謎系のミステリィでした。
あーよかった。

モンスタペアレンツ、児童虐待、教師によるいじめや学級崩壊などなど、取り上げられる話題はよく聞くものですが、ミステリィだけに、お話は見かけどおりではなく、一筋縄ではいきません。ほぐしていくと二重三重で、解決も中々トリッキー。
森島は、元々教員に夢や憧れがあったわけではなく、教員免許を取ったのも学生時代付き合っていた彼女に誘われたから、天候が許せばドゥカティにまたがりガンズ・アンド・ローゼズのデビュー・アルバムを口ずさみながら通勤してくる、というのだから、音楽講師であることを割り引いても少々変わり者の部類かも。
教育問題とミステリィを絡めた……と読むと期待外れでしょうが、単純にエンターテイメントとして読むならば、楽しめます。

作者の本はこれが初めてだと思っていたのですが、調べてみると、デビュー作で横溝正史ミステリ大賞を取った『いつか、虹の向こうへ』も読んでいました。偶然なのか、文庫版の解説を書いた北上次郎氏も、デビュー作を読んでいたのをすっかり忘れて本作が最初だと思ったとか。
うーん、これって『いつか、虹の向こうへ』が印象に残らないってこと?
それとも作者は上手いんだけど特徴がないってこと?
デビュー作と本作はつながりを感じないほど色が違うってこと?

さて。

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