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柳広司『ジョーカー・ゲーム』


ジョーカー・ゲーム (角川文庫)ジョーカー・ゲーム (角川文庫)
(2011/06/23)
柳 広司

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昭和十年代後半の戦争の足音がする中、かつて優秀なスパイだった結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校 D機関を描く短編連作集。
吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞受賞。

5篇の入った短編連作集。
スパイの話ということで、縦横無尽に走り回るアクション物をイメージしましたが、D機関のモットーが「死ぬな、殺すな、とらわれるな」ですので、スパイの周辺で起こる比較的地味な謎を解いていく推理小説という趣です。
短編なのでそれぞれの謎解きは小さめでしたが、面白いものでした。

ちょっと妙だなと思ったのは、D機関は「スパイ養成学校」とされているところ。与えられる任務もD機関から出ているようですが、それは「卒業試験」的に扱っています。でも、陸軍内でのスパイの嫌われ方をみれば、ここを卒業したところで、それぞれの部隊で上手く活用されるとは思えず、かと言って別な諜報機関があるようにも描かれていません。
例えばCIAは、要員の訓練などはCIAの中で行います。D機関も「学校」と言わず「諜報機関」と言えば、しっくり来るのですが。

本作では、個々のスパイに振りかかる謎を解くという感じで、D機関そのものが活躍するという話ではありません。できれば組織としてのD機関の活躍も見てみたい気がしますが、「スパイは正体が露呈すれば、それでおしまい」というポリシーから、組織としての活躍というのはちょっと違うでしょうか。

現在映画も撮られているようですが、漏れ聞こえてくる感じでは、原作とは別物かなと思いました。まだ続編を読んでないので断定は出来ませんけど。
続編も楽しみです。

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