FC2ブログ

川瀬七緒『よろずのことに気をつけよ』


よろずのことに気をつけよ (講談社文庫)よろずのことに気をつけよ (講談社文庫)
(2013/08/09)
川瀬 七緒

商品詳細を見る


老人が自宅で惨殺体で発見され、縁の下には呪術符が残されていた。孫娘の真由は真相を調べるため、廃屋さながらのあばら家に住む、呪術を専門とする大学非常勤講師 仲澤を訪ねて……というお話。
第57回江戸川乱歩賞受賞作。

悪い意味でアニメ的(誤解無いように書いときますが、私アニメは好きです。足を洗って久しいですが、元ヲタくらいは名乗ってもよいかも)
初対面、お互い名乗りもしないうちに、
主人公は
「アポ無しの珍客は美少女というわけか。いや、美少女と言い切っていいもんかどうか、若干検討の余地があるかもしれんな。」
云々、と言い放ち、
ヒロインは
「おっしゃる通り、全部正解。さすがです。」
とか答えちゃう。
アニメの文脈ではこういう場面はよくあるし、おかしくありませんが、それはアニメという表現方法は口に出す会話と心中の独白の区別が曖昧なところがあるから許されるのであって、小説で同じことをやれば、ただただ変な人なだけ。だいたい「〜あるかもしれんな。」って、お前何歳だよ、そりゃ書き言葉としては存在するし、仲間内のおふざけとしては存在するが、現代の三十代の男が初対面の美少女相手には言わんだろう。
では主人公をエキセントリックにしたかったのかと言えば、とてもそうは思えない。例えば京極夏彦の描く京極堂ならば違和感ないが、あちらは時代設定も京極堂のキャラも、それを言わせるような作りになっている。本作では、冒頭から『呪術を専門にしても食っていけない』みたいなことを書いている時点で、ぶっ飛んだ主人公とは思えない。

呪術については、うーん、よく調べたのだとは思うのですが、ちょっと身についていないような印象が強い。例えば「この地方にはこんな風習があって」みたいな実例を畳み掛けるように積み重ねないと、京極堂や、高田崇史描く桑原崇のような迫力は出ないのでは。
途中の、殺された老人は何者だったかを調べていくところは面白かったんですけど。

全体を通してはまあまあなのですが、歴代の乱歩賞と比べてしまうと、ちょっとどうかな?という感じでした。

関連記事
スポンサーサイト

Comment

Comment Form
公開設定

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。