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恩田陸『中庭の出来事』


中庭の出来事 (新潮文庫)中庭の出来事 (新潮文庫)
(2009/07/28)
恩田 陸

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いくつかのモチーフが語られる。
中庭のレストランで待ち合わせ語り合う二人の女。
山奥の廃線跡を話しながら歩く二人の男。
中庭の噴水の脇で倒れる若い女。
中庭で行われるパーティーで変死する脚本家。
そして『中庭の出来事』という劇中で取り調べを受ける三人の女優。
それぞれのモチーフは、少しずつ中身を変えながら繰り返され、進み、お互いを侵食して、境目が曖昧になっていく……
山本周五郎賞受賞作。

通勤電車の中で細切れにストーリィを追うような読み方では、頭がこんがらがります。解説の小田島雄志氏は赤と青のボールペンと黒の鉛筆を持って、整理しながら読んだとか。現実だと思ったものが劇中に変わったり、劇中だと思っていたことが現実だったり、パラレルワールドのように少しだけ違って語られる現実は、視点(見ている人)の違いだったり、現実を基に書かれた虚構だったり。
それぞれのモチーフで描かれることは何となくミステリィを連想しますが、ミステリィとしてはっきりした答えは出ません。そんなところを追求する(狭義の)ミステリィではないのでしょう。恩田さんの悪い癖、最後に畳み損なって何だかなぁ〜ということもなく、綺麗にお話を終えられます。
私にとっては、今まで読んだ恩田作品の中では一番の出来の良さかも。

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