望月守宮『無貌伝〜双児の子ら〜』


無貌伝 ~双児の子ら~ (講談社ノベルス)無貌伝 ~双児の子ら~ (講談社ノベルス)
(2009/01/09)
望月 守宮

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人とヒトデナシと呼ばれる妖かしが共存する世界で、ヒトデナシの無貌に全てを奪われた探偵・秋津と、孤独な少年・望が、無貌の新たな犯行を阻止しようとするお話。
第40回メフィスト賞受賞作。

名探偵、地方の旧家、美少女、不可解な事件、となれば、横溝正史です。それに伝奇物を足して(というか、元々伝奇物は横溝の影響は濃いですし)、アニメとライトノベルテイストを加えました、というところ。

舞台設定は魅力的です。というか、好きです、私は。

一方、人物像や筋立ては少々稚拙。
戦前の旧家っぽい雰囲気を出したかったのかもしれないが、ならば設定しておくことは多いはず。主人と使用人の関係とか、地方の有力旧家と警察の関係とか。横溝正史が難なくやっていたことが、現代日本では事細かに意識しないとスッポ抜けてしまう。そんな抜けが、せっかくの雰囲気を壊してしまう。

望の視点で話は進みますが、彼の人物像もブレが大きい。卑屈なのかガサツなのか、はたまた賢いのか。何よりもたった十五歳の子供に、いい大人が頼ってしまうことに違和感が大きい。勿論、作中の彼はとても十五とは思えない活躍なのですが。
こんなところは悪い意味でアニメ的、ライトノベル的。

筋も、もう少しスムーズに流せたと思うのです。ヒトデナシの説明なんて、あちこちに散らばせてはいけないでしょう。一気に説明してしまわないと。また事件ももう少し短くまとめられたはず。
読んでいるこちらは答えが見えているのに、作中人物達だけが頭を捻っているのは、うーん、という感じ。

何かに似ているってのは、実は悪くないことだと思うのですが、もう少しスマートに似せて欲しい。継ぎ接ぎなのも悪くはないが、もう少し段差なくつないで欲しい。部品を切ってただ繋げるだけでは、段差ばかりが悪目立ちします。
好きなタイプの話なのですが、もう少し書き込んでから世に出てもよかったかも。こういう場合、作者が慣れてくる二作目三作目の方が良かったりするのですが、さて、読むかどうかは迷うところです。

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