新井素子『チグリスとユーフラテス』


チグリスとユーフラテス(上) (集英社文庫)チグリスとユーフラテス(上) (集英社文庫)
(2002/05/17)
新井 素子

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チグリスとユーフラテス(下) (集英社文庫)チグリスとユーフラテス(下) (集英社文庫)
(2002/05/17)
新井 素子

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遠い未来、地球の日本という国があった辺りの出身者が中心となって、移民宇宙船ナインが出発する。人の一生の1/3ほどの時間をかけて惑星ナインに到着した移民者達は、定着し、人口は増え、産業を興し、街を作り、繁栄は続くかに見えたが、200年ほどが過ぎたところで異変が起こる。何の問題もないように見えるのに子供が生まれなくなり、人口が減り始め、300年過ぎたところで、最後の子供ルナが生まれ、やがて大人たちは死に絶える。
残されたルナはコールドスリープに入っている人達を順番に起こし始める。人口減少がどうしようもなくなった頃に生きたマリア・D、貧しいながらも発展が続いていた頃に生きたダイアナ・B・ナイン、移民世代の記憶がまだ残っていた頃に生きた関口朋美、そしてナインの創始者レディ・アカリ。
彼女たちと最後の子供ルナとの葛藤の物語。
第20回日本SF大賞受賞。

以前は新井素子の話は随分読みました。何といっても彼女のデビュー作『あたしの中の……』が載った雑誌『奇想天外』も読んだくらい(って、それ自慢?)。デビューから順番に読んで、読むものが無くなって間が空いて、それがきっかけで読まなくなる、というパターン(結構ほかの作家でもこんなことが多い)。
今回は久々の新井素子でしたが……テーマは興味深い。コールドスリープから起こす人が歴史を遡る方向な構成も面白い。でも文体がねぇ……
起こされる人はそれぞれの時代に合った背景を持って、それぞれに相応しい考えや性格を持っているはずなのが、文体が全部一緒、もしくは簡単には気づかないくらい違いが小さいものだがら、皆平坦に同じに見えてしまう。しかも、その一緒の文体が、まるで中学生のおしゃべりみたい。まぁ、そこが新井素子らしいところなのですが、さすがにこのテーマにこの文体では、響くものも響かなくなってしまう。ハマる時にはハマるんですけどね、この文体。
また、同じ場面なのに視点が移ったり、余計な記述のためにせっかくの文が台無しになったり。もう少しプロとして丁寧な仕事をして欲しいなぁ、というのが偽らざるところ。
昔とても好きだっただけに、かえってガッカリ感が大きかったかもしれません。

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