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CDが売れないらしい

CDが売れない、って、改めて書くまでもなく、もう何年も前からCDは売れていないわけですが、それでもレコード会社が今すぐ二つ三つ潰れるという話も聞きませんから、どれだけボッタクってるんだよ、という感、なきにしもあらず。

どれくらい売れてないかというと、
オリコンCDシングル・チャート、10/22-28の一週間の推定売上枚数は、
1位 約5万5千枚
2位 約5万4千枚
3位 約4万6千枚
いずれも10/24発売の曲。
それぞれ誰のなんという曲か興味の有る方は、オリコンのサイトへ行って御確認ください。

でもこれだけじゃ、多いんだか少ないんだかピンと来ない。

今は亡き(って勝手に殺すな)モーニング娘。は、デビュー前に自主制作CDを手売りして、ある枚数売れたらメジャーデビューってことでした。まぁ、テレビ演出的には :-)
そのときのノルマが「5日間で5万枚」。

これ一つとっても、業界関係者は曲を売るために今も本当に努力してる?と疑問がわくところ。
だって、今、新人アイドル歌手が同じ事をすると、いきなり3位にランクイン、となるんですよ(厳密には自主制作盤はオリコンチャートの対象じゃないと思うけど)。
iTunes Storeで苦労せず収入があるものだから、レコード会社、不精してない?

その一方で、
CDアルバムが売れなくなった一因はiTunes Storeにもあると思っています。
その昔、アルバムは単に曲が10曲集まったものではなくて、コンセプトに基づき、ジャケットを決め(アイドルなんてミニ写真集並のフォトブックを付け)、合った曲を選び、ストーリィに沿った曲順を決めたものでした。アルバム一枚を通して聞くと、最後の曲には「ああ、確かにこれはアルバムの最終曲だ」と思いました。
それをiTunes Storeが「1曲でも買えるよ」とやったものだから、アルバムを一本の作品と見る考え方がなくなり、曲順という概念が崩れ、ジャケ写という概念が崩れてしまう。どうせ全曲買ってもらえないならとアーティスト側も、コンセプトに凝ることもなくなり、ジャケ写に凝ることも、曲順に凝ることもなくなり、ますます客はアルバム全体には価値を見いだせなくなり……と悪循環。
音楽文化のある部分が死んでいくところに我々は立ち会うハメになったわけです。

そんな業界の人達は、音楽が売れないのは違法ダウンロードが悪いんだ、と言う。
それではと10月1日から違法ファイルを入手した方も刑事罰が付くようになる。それでCDは売れるようになったのかといえば、約一か月経って、そんな話はちっとも聞かない。

CDが売れない本当の理由 | キャリア | マイナビニュース
によれば、
CDを買わない理由は、

レンタル店で借りるから 49.0%
音楽ソフトを購入しない 35.9%
インターネットショップ(iTunes Storeなど)で購入するから 18.7%
その他 7.5%

「その他」には、YouTubeで聞くなどが含まれるそうですが、「音楽ソフトを購入しない」という人の中にも、聞きたければストリーミング(YouTubeとか)で聞けばいいや、って人もいるんじゃないでしょうか。
「レンタル店で借りる」は、一回聞いて返却しているのか、コピーをとっているのか。もしかしたら好きな曲だけコピーしているということもあるかも。いずれにしても、まさかジャケットのコピーまでは取っていないでしょう。

誤解している人も多いみたいですが、レンタル店で借りてコピーを取るのは違法です。「え?レンタル店に著作権料払っているけど?」はい、それは「CD/DVDを使って商売(レンタル)している人(レンタル店)が、著作権者に払わないといけない著作権料」であって、「CD/DVDをコピーするために支払わないといけない著作権料」ではありません。コピーは依然として禁止です。

ともかく、
音楽に価値を見出していないわけではない。でも、CDという商品(曲順、ジャケ写、ライナーノーツなど)に価値を見出していないように思えます。鶏か卵かわかりませんが(価値が無いから売れないのか、売れないから価値を付ける努力をしないのか)。

曲が面白く無いから売れないという意見も聞きます。
歌詞に関しては全く同意。私が最近の曲を聞かなくなった理由として、心当たりが無いわけじゃありません。でもここは時間が解決してくれるでしょう。実際「会いたい、会えない」ソングや「父さん母さん有難う」ソングには「他に言いたいこと無いの?」という批判はよく聞きます。

メロディについてはどうでしょう?
例えば、

Pop music too loud and all sounds the same: official | Reuters

スペインの研究者によると、1955年から2010年まで100万曲を解析した結果、音は大きくなっているがメロディやコード進行はほとんど変化がない、むしろ多様性は失われている、とのこと。
「だから最近の曲は面白くない」と言ってしまいそうだけど、ちょっと待って欲しい。
研究の結果は55年間メロディに変化がないと言っているのです。つまり私が生まれる前からポップ・ミュージックは変わっていないと。ここ十年くらい「最近の曲って面白く無いんだよね」というのとは、話が違う。
逆に言えば、50年やそこらでは人間の好みは変わっていない、とも言える。みんながこの50年余り、好きでもない音楽を我慢して聴き続けていたとは思えない。ここに本質的な問題があるのなら、とっくに改善されているでしょう。


結局のところ、CDの価値と、音楽(曲)の価値は、本当は違っていたのに同じものだと考えてしまったところに間違いがあったのかも。
CDは音楽の入れ物だったわけだけど、その綺麗な入れ物にも価値があったことを忘れて、入っている曲の魅力に頼って努力を怠ったのではないでしょうか。


もう一つ、音楽産業というものが変わろうとしている、より正確には先祖返りしようとしているのかもしれません。
思い起こせば、著作権によって音楽が産業化したのは、ここ150年くらいのことです。
その前の何千年も、作者は演者とイコールで、神殿や街角やホールで演じることで木戸銭を受け取っていました。中世には作者は依頼を受けて作品を売り渡すことで対価を受け取っていました。
レコードやテープやCDは、演じることの延長として対価を受け取っても良いとは思いますが、
一方、デジタル化に伴って、どんなに法律で律してもコピーを取られることを防ぐことは出来ないでしょう。それはモーツァルトの楽譜を手書き写譜されても、モーツァルトに対価が支払われることはなかったのと同じです。それが嫌ならば楽譜を金庫に入れ、演奏もしないしかありませんが、それでは何のためにその楽譜が存在しているのかわかりませんね。
山下達郎は「以前はCDの販促物としてコンサートがあったが、今はコンサートの販促物としてCDがある」という主旨のことを言っています。
もう原文は削除されてしまっていますが、松任谷由実と井上陽水も対談で、

ユーミンと井上陽水さんの対談記事の衝撃:点をつなぐ:ITmedia オルタナティブ・ブログ
松任谷由実 井上陽水 対談 - Google 検索

「著作権なんて、西洋のある種の文化ですよね。絶対というわけでもない。」
「音楽にお金を払うこと自体が間違ってたのかもしれない。」
なかなか強烈な意見です。

音楽が産業化したことで、裾野と食べていける人が増えたことは事実でしょうが、金を払う価値のないレベルのものも多数入り込んだこともあるでしょう。
実際こんなクズみたいな話もありますし。

野草を食べていただけのヒッピー、音楽著作権侵害で警告される(動画) : ギズモード・ジャパン

因縁をつけて相手が大人しく金を払ってもらえれば御の字、ということらしい。

日本でも30年ほど前、オフコースの「さよなら」が大ヒットしていた真っ最中、「さよなら」がTVでもラジオでも一度も流れなかった一日があったと著作権管理団体が報告してきたことがあったそうな。そんな莫迦なと小田和正が問い合わせたところ、「このくらいで手打ちを」とヌッと出てきたそうだ。
何が出てきたって?さぁ何でしょうね。

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