FC2ブログ

佐藤賢一『アメリカ第二次南北戦争』


アメリカ第二次南北戦争 (光文社文庫)アメリカ第二次南北戦争 (光文社文庫)
(2010/04/08)
佐藤 賢一

商品詳細を見る

2013年ダラスでの大統領暗殺をきっかけにアメリカ合衆国が内戦状態に突入。主人公は、ジャーナリストとして合衆国、連合国双方に取材するうちに、第二次南北戦争の真実に迫っていく。

というお話のはずなのですが、うーん、なんとも……
内戦は現在停戦状態という設定です。進展していく戦況を追っていく戦争小説、というわけではありません。勿論戦闘シーンバリバリのアクション小説でもありません。もしこの州とこの州が戦ったら、というシミュレーション小説でもありません。
強いて上げれば、ストーリーはポリティカルスリラーなのですが、登場人物たちはステロタイプ化されて、いかにもという感じ。それを笑い飛ばすお笑い小説の面もあるので、これはこれでいいのですが、主人公が思い悩むところが、結局のところ戦争という人が死ぬ現実なわけで、全体の軽さと そぐわない、有り体に言えば「お前みたいなチャランポランな奴にそんなこと言われても本気で取れないよ」と読んでいる側は思ってしまう。
また、佐藤賢一のいつものことで、伏線が弱い。突然最終コーナーでそんな事言われても困る、ということが、ところどころ。

米国に対する分析は、的確で面白い。少々強調し過ぎのきらいはありますが、かの地に十数年前に住んだ時に思ったことを「そうそう、その通り」とうなずける形で提供してくれます。
「アメリカ」という単語への彼らの思い入れも同様。
住んでいた頃には、こいつらまるで「アメリカ人」の演技をしているみたいだ、と思ったことを思い出しました。

全体を通してみると、戦争やなんやかんやは脇役で、佐藤賢一はこの「アメリカとはどんなものか」ということを書きたかったんじゃないかな、と思いました。話が最後は「解決案」の提示で終わっていることが、それを示しているような気がします。
ただ、残念ながら読み終わったときにそれが充分伝わったか? 先入観がありますので私にはなんとも言えません。

蛇足ながら、
文庫本は、裏表紙(表紙4)とか表紙裏(表紙2)とかに、その本の導入が数行書かれるのが普通ですが、この本では本文を読み終える前に、ここは読まない方がいいです。普通書かないだろうというようなことが書かれています。解説の香山二三郎氏もぼかしていることを、そのまま書くなんて、光文社、まずいと思うよ、これ。
まぁ、読んだからといって楽しみ半減、というわけでもないのですが。こんなことを書くと、かえって読む人が増えてしまうかな?
スポンサーサイト