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見守るだけの簡単なお仕事です

Twitterはやってなくて伝聞なので文言は正確ではないと思いますが、
友人によると、数週間前、こんなツイートが流れたそうです。

「求む財務大臣。見守るだけの簡単なお仕事です」

かつて財務大臣(大蔵大臣)といえば、後に総理大臣に就くような政権のNo.2とも重鎮とも言うべき方が就く大臣の中の大臣みたいなものでしたが、支持者の方には申し訳ないが、このところテレビに映る御尊顔を拝すると、記者に囲まれ目が泳ぎ、覚えた文言を言うのがやっとという感じ。経歴を見る限りそんなに経済に明るい方には思えず(五年以上前の野党時代、何故か「次の内閣」財務大臣を一年半ほどされてましたので、本当は経済通なの?)、党内反主流を歩んできた関係で現首相と仲良しなのかな?と推測するくらい。

政治主導と言うけれど、それは官僚主導よりマシなことが前提。こっちにとっては権力争いにはまるで興味はなく、官僚だろうと、政治家だろうと、占い師だろうと、少しはマシなことを言って実行出来る人に主導権を渡したいだけです。
政治主導の結果が、緊急記者会見で「生暖かく見守ります」と言う財務大臣、「82円からが勝負だ」と宣言する官房長官だったりすると(勿論、文字通りこう云ったわけではありませんよ)、あーあー、という感じ。こんなこと言うことに何の意味(メリット)があるの?

でも彼ら、FXマーケットの人達から支持されていると思いますよ。
だって分かりやすいもん。

「FXマーケットの人達」ってどんな人でしょう?大雑把に計算します。
全世界の外国通貨の売買量は、三年前のデータで一日約4.5兆ドル(いろいろ違う数字もありますが、ここは概算で)。単位をドルにしてますが、ドルとは無関係な、ユーロを売ってスーダンポンドを買う、なんていうのも含みます。
一方、世界の貿易額は約14兆ドル、ただし年額。
つまり、貿易のためだけに通貨売買するなら、一週間もマーケット開けておけば十分。実際は貿易外収支(例えばThis is Itの版権や、赤西仁の米国ツアー)もありますが、それらを合算しても、概ね外国為替取引量の1%くらいが、「実需」に使われている部分とのこと。
では、残り99%は何かと言えば「あなたの為だから」の「FXであなたも億万長者」の人達。

マーケットを動かしている99%の人にとっては、日本経済の良し悪しはモチロンのこと円高も円安もどうでもいい。彼らに大切なのは方向。一方向にずーっと継続して進んでいくことです。円が上がり続けると分かっていれば、円を買って待ってるだけで儲かるんですから、こんなボロい話はない。
そんな彼らに今の政府はうってつけです。何たって「生暖かく見守る」のですから、今のトレンド維持は保証されたようなもの。「82円からが勝負」ですから、そこまで来たら精算してバカンスでも楽しめばよろしい。
まぁ人間 欲が絡むと正常な判断ができなくなって、バカンスを先延ばしして大怪我するのですが。

でもニュースショーは、そんな仕組みをまるごと無視して「今も日本経済が欧米よりも比較的良いので円高が進んでいる」と言っちゃう、偉そうな おじさん・おばさんのことなんかを取り上げる。
そりゃ5月に円高に転換したきっかけは日本経済の相対的強さだったかも知れない。
でも「92円じゃダメなんですか?どうして83円じゃないとダメなんですか?」の理由にはならない。つまり、日本経済の強さをみて「83円が適切と思った」人なんていない(そんな、どこが適切かなんてこと誰にもわからない)。
一旦方向らしきものが出来たら、「FXで億万長者」の人はそれに乗っかり、あとはどこが崖っぷちなのか判らないまま暗闇を進んでいく、というのがこの世界。「まだ大丈夫?まだ叱られない?」と手探りで進んでいくと、誰にも叱られず痛い目にも遭わず、しかも今回はありがたい事に途中途中で日本政府は生暖かく見守って、口先介入で「円高誘導」までしてくれちゃうわけだから、そりゃ乗らないのがどうかしているでしょう。

そういえば、最近ニュースショーで笑っちゃったキャスターとエコノミストの会話。

Cas「どうして円高になったんですか」
Eco「欧米に比べて日本経済が相対的に良好で……云々」
……いろいろ話があって……
Cas「では最後に、今後日本政府はどうしたらよいでしょう?」
Eco「経済対策をしっかり行ってですね……云々」

ん?あなたが正しいとしたなら、経済対策しっかりやって経済を良好にしたら、ますます円高進むんじゃねーの?
しかも、そんな自己矛盾回答に、どうして納得してんだよキャスター!
いい加減なんですよね、エコノミストも、そんなのを出すニュースショーも。
まぁ全員がそうだとは言わないけど。

一方、大企業は、訊かれれば「いやぁ円高は大変ですよ」と答えます。実際マスコミは、1円上がると どの会社が何百億損するかリストにして出してくれます。
でも、本当にこのリスト通りに各企業は困ってるんでしょうか?日本国外から上げている利益から逆算しているだけで、実態を表しているんでしょうか?
自動車はまだ日本からの輸出が多いようですが、例えば電機業界などは、既に大半の製造は海外で行われています。試しに最近買った電化製品を調べてみてください。かなりの部分がMade In Japanではないはず。逆にシャープの液晶テレビの様に、日本製であることを強調するマーケティングがあるくらい。
海外製造工場はドルで部品を買い、製造費もドル、商品は直接欧米へ輸出されドルで売上を立てる。そこでは円ドルレートがどうなろうと関係なし。円ドル為替レートが問題になるのは、日本で売る分(でも円高なら儲かる!)と、日本での開発費の回収分くらい。
こんな状態の時、企業が全部利益を日本へ戻して為替差損で利益をドブに捨てるような愚はおかさないでしょう。

今こういった企業の最大の関心事は、円ドルレートじゃなくて、ユーロドルレートでしょう。ここが振れると欧州での利益が吹っ飛んでしまいます。
でもそんなこと、ニュースショーじゃ言わないですねぇ……

こうやって企業が利益を日本へ戻さない、戻せない形になってしまうと、既に雇用は外へ出ていってしまっているのに加えて、今度は日本政府には法人税が落ちてこない。
二言目には「企業優遇は許さない」とか言う政治家がいますが、優遇しろとは云いませんが、企業いじめのようなことをすれば、企業なだけに日本から簡単に出ていってしまいます。それでなくても日本語が話せない人がトップにいる会社が増えてるんですから、彼らに日本への愛着はないでしょう。
日本の企業は技術は優れている(これは本当)けれど、使わなければお金に出来ないし、暮らしてもいけない。環境が悪ければ、よりよい環境を求めて、可能な企業から移っていきます。そんなダイナミックなところが、Far EastでDomesticな政治家をやっている方々は、どのくらい理解しているのか、不安に感じる今日この頃。
せっかく買ったマンションなのに、上海引越しなんてやだなぁ、私。

私が子供の頃、社会科の授業で「日本は加工貿易の国。原材料を輸入して製品に加工して輸出して利益を得ています」と習ったけど、今はどう習うんだろう?
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