「二重じゃダメなんですか?」← そんなこと考えてないです

なにか、久々にすごいものを見たので。


発信箱:二重じゃダメですか=福本容子 - 毎日新聞

http://mainichi.jp/articles/20160916/ddm/005/070/013000c

正確な内容は読んでいただくとして、私なりにまとめれば、

■ イングランド中央銀行総裁カーニー氏、英国籍を取ったのは3年前、しかも英国籍を取ったのは総裁になった後。カナダ籍、英国籍、アイルランド籍の三重国籍。三国とも多重国籍を認めているので問題なし
■ 青色発光ダイオードの発明でノーベル賞を取った中村氏は米国籍。本人は「アメリカ人でないと軍から研究予算をもらえないし、軍関係の研究もできないから」と説明。外国籍を取ったら日本国籍は喪失となる。
■ 「国籍はアイデンティティの大切な一部」なのに、日本国籍を取得したらどうして母国の国籍を捨てる必要があるのか。世界と日本をつなげてくれる国家的財産を失っていることに気付くべき。
■ 蓮舫氏は「二重じゃダメなんですか?」と法改正を呼びかけたらいいのに。


例えば私のような無名のふつーの人がブログにこんなこと書き散らしたなら、失笑をかうだけですが、
一般紙の紙面で、コラムという軽めの扱いとはいえ、文末に「(論説委員)」と署名して(「論説委員」は一般の記者とは違うのよ)書くには、あまりにも、自爆どころ、ツッコミどころ満載。

まず、手持ちの辞書や百科事典や(精度は落ちるけど)Wikipediaで、「カナダ」と引いてくださいな。
そこには立憲君主制の国、と書いてあると思います。はて、カナダに王様は居たっけ? と見れば、現時点で君主は「エリザベス女王」と書かれているはず。
確かカナダ国籍は英国に移住するのにビザはいらないし、英国の選挙権/被選挙権もあったはず。
次に欧州連合ってのを調べていただけば、アイルランドはその一員だとわかるでしょう。欧州連合が最終的に何を目指しているかを調べてください。
もっとも、カーニー氏にとってアイルランドは祖母の母国というだけで、どのくらい「アイデンティティの大切な一部」なのかわかりません。そもそも英国がEUから離脱するしね。

中村氏の例では、米国籍にせざるを得なかった理由に注目しましょうよ。つまり米国籍じゃないと「軍から研究費予算をもらえないし、軍関係の研究もできない」のはなぜか。
例えば、いくら米国籍を持っていても、イランと二重国籍では、たぶん軍からお金は出ないと思いますよ。

次に「国籍条項」というのを調べてみましょう。何でこのようなものが設けられているのか考えてみましょう。
私やあなただったら許容できる問題であっても、公人では許されないことってあるんです。
「国籍はアイデンティティの大切な一部」だからこそ、日本より他国の利益を優先する疑いが生じるような人が、もしかして首相になるかもしれない立場になることは、問題視されるわけです。
「世界と日本をつなげてくれる国家的財産を失っている」というところに至っては、意味不明。
蓮舫氏が台湾籍を離れたからと言って、蓮舫氏や台湾側の行動に変化があるだろうか?
逆に日本の首相が台湾籍だという理由だけで、対中国軍事同盟を台湾と結んでも問題だと思うけど。

そもそも蓮舫氏は多重国籍を是とすることなど一度も言っていない。どこをどうしたら、公的に認められた政党党首で国会議員である公人である蓮舫氏が「二重じゃダメなんですか?」と考えていると思ったんだろう?
それなのに「是と主張して法律を変えろ」と書いちゃうことも、意味不明。

今回の問題は、蓮舫氏の説明が曖昧かつコロコロ変わり、過去の自分の言動と矛盾していて、「政権奪取」を目指す野党の党首として、公人である国会議員としてどうなのよ? というところであって、
多重国籍の是非についてじゃない。

さらに一番心配なのは、一連の報道や情報の最前線にいるはずの「論説委員」の問題に対する理解度がこのくらいだというところでしょうか。

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スティーグ・ラーソン『ミレニアム2 火と戯れる女』



前作でリスベットに痛い目にあわされた後見人ビュルマンは、リスベットに復讐すべく策を練る。
一方ミカエルは、ジャーナリストのダグがすすめる人身売買と強制売春の調査を雑誌『ミレニアム』で特集すべく奔走する。
いつしかそれが絡みあって、リスベットに殺人の容疑が……というお話。
『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』の続編。

長い。長過ぎる。途中あまりにも話が動かないので読むのを止めようかと思ったくらい。いまだに、最初のリゾートライフは要らなかったのでは?と思ってしまう。これ、あとにつながってましたっけ?
続編なので前作は読んでおいたほうがよいかもしれませんが、読んでなくても楽しめないわけではありません。ただ、読んでないと消化不良っぽくなってしまう(例えば、ビュルマンはなぜここまで執拗に復讐したいのか、リスベットはなぜここまで執拗に叩きのめしたのか、たぶんわからない)し、読んでいると「こんな関係の伏線ってあったっけ?」と気になってしまう。話が進むにつれて、リスベットの過去が明らかになっていくのですが、前作を読んでから随分たってしまったこともあって、伏線があったかどうかもピンと来ない。

殺される人は意外ですが、ストーリィそのものはそんなに意外でなく、まぁ収まるところに収まりましたねぇ、というのが正直な感想。この話だけでは取り立てて高評価というわけにはいかないかも。
前半は「この調子なら三作目は読まないな」と思ったものが、後半で「次も読んでもいいかな」に変わりました。
そうすると、前作を読んでキャラ萌えした人が読む話かもしれません。

板倉京『夫に読ませたくない相続の教科書』



遺産相続に関わる準備とか手続きとかを解説した本。

河治和香『未亡人読本』が相続に限らず、夫が亡くなるってこんなに大変なのよ、というものだったのに対して、
本作は相続についてより具体的に準備や手続きについて説明してくれています。
タイトルは『夫に読ませなくない』とありますが、別に夫に内緒にしたいというわけでもなく(ま、ちょっとはあるかな)、夫も読んだ方がよい、読むべき内容です。著者も前書きに「見るなと言われると男性は俄然見てくれるはず」と書いていますし。
一部ちょっと判り難いところもありましたが、問題認識確認にはとてもよい本だと思います。

土屋大洋『サイバー・テロ 日米 vs. 中国』



内外で起こったサイバー攻撃、サイバーテロ、ハッキング事件などを紹介しつつ、各国のサイバーセキュリティ状況などを説明、解説した本。

入門篇としては取っ付き易いかもしれません。
ただ、少々煽り気味のタイトルは下品ですし、よく読めばわかりますが、決して中国だけが悪者ではないし、日米ががっちり組んでいるわけでもなく、ある意味看板(タイトル)に偽りあり。
また、この手のことに関心のある方にとっては、起こった事件や米国のセキュリティ状況の説明などは知っていることも多くて物足りないかも。
私にとっては、日本の対応の部分が結構目新しかった。案外マスコミは日本の現状は伝えてくれてないようです。

太田朋子『分子進化のほぼ中立説』



タイトル通り「分子進化のほぼ中立説」(または「弱有害突然変異体仮説」)について解説した本。

……のはずなのですが、申し訳ありませんが、私には全く歯が立ちませんでした。
ブルーバックス(専門外の人にある程度わかるように説明した新書)なのである程度読めるかなと期待したのですが、まるで駄目でした。

というわけで、もう少しやさしそうな本から出直してきます。